【コラム】会計基準が東芝をおかしくした 原価計算に潜む不正の原点(「記者の眼」) 田村 賢司
ひとはどこまで無実か――悪事が露見するまで無実である。随筆家、山本夏彦の名言にこうある。この名言を思い出したのは、東芝問題の真相はどこかと考えていたからである。「内部統制が機能していなかった」。不適切会計が表面化した直後、東芝の田中久雄・前社長は、不正の原因を問われてこう答えた。さて、内部統制とは、企業としての目的を適正に達成するためのルールや業務の流れを定め、それが決められた通りに動いているかどうかを監視し、問題があれば、即座に修正するチェック機能のようなものである。