【東京新聞/社説】国家は自国民を平気で犠牲にする。語らねば、伝えねば、満蒙開拓団の記録から
国家は時に、自国民を平気で犠牲にします。昭和の戦争がそうでした。その渦中で進められた国策「満蒙開拓」も…。これは遠い昔の物語でしょうか。一冊の本が手元にあります。「証言 それぞれの記憶」という百ページにも満たない冊子ですが、そこには、数え切れない命の記憶が詰まっています。戦前から戦中にかけ満州(現中国東北部)へ移民し、敗戦時に、地獄の思いを味わった十三人が、しぼり出すように語った体験を書き起こした証言集です。