【WW2】豪軍の英雄にビクトリア十字章の死後授与決定…対空砲に体を縛りつけて日本軍機に応戦
第二次世界大戦中のオーストラリア軍の英雄、エドワード・テディ・シーアン三等水兵にビクトリア十字章が死後授与されることが決まった。ビクトリア十字章はイギリスの軍人勲章の一つで飛び抜けて勇敢な働きをした者に贈られる。ABC放送(電子版)が伝えた。
シーアン水兵のビクトリア十字章叙勲は死後間もなく審査があったが叙勲にはならなかった。今回、スコット・モリソン連邦首相が叙勲審査専門家パネルに再審理するよう指示し、同パネルの返事を受けてスコット・モリソン連邦首相がこれをエリザベス女王に送って決定した。1942年、TAS州出身のシーアン水兵(当時18)が乗っていた掃海艇HMASアーミデールは現チモール・レステ(東チモール)沖で日本海軍戦闘機の猛攻撃を受けた。当時の証言によると、シーアン水兵は、総員退艦命令の出た掃海艇から乗組員を救命ボートに乗り移らせ、ボートを海面に下ろす作業をした後、退艦命令が出ていたにもかかわらず自分の持ち場の対空砲座に戻り、救命ボートを狙って海面の掃射を始めていた日本軍戦闘機に応戦した。その際にシーアン水兵は沈み始めた掃海艇の砲座に自分の体を縛りつけて対空砲を撃ち続けたとされており、オーストラリア戦争記念館に納められているデール・マーシュの油絵には体をベルトで砲に縛り付けて波の洗う甲板に横たわって打ち続けるシーアン水兵の姿が描かれている。目撃者は、「シーアンは艇が水没するまで撃ち続けた」と語っている。今回、モリソン連邦首相は、「シーアンの勇敢な行為に対する顕彰を指示する新しい強力な証拠が現れており、1942/43年の審査ではシーアンに対して正しい評価が行われていなかった」と語っている。専門家パネルには元国防相のブレンダン・ネルソン・オーストラリア戦争記念館館長が議長を務めており、シーアン水兵のビクトリア十字章叙勲の試みは2013年、2017年と繰り返し却下されてきたが、2019年に国防軍叙勲審査局の報告書を受け取ったリンダ・レイノルズ国防相が、「審査局は叙勲を支持する新証拠が現れなかったとしている」と発表したが、直後にマーク・サリバン局長が、「大臣は審査局の判断を誤解している」と書き送った。