【東京】「おやじの代から使ってるから百年近い付き合い。何より香りがいいやね」…東京都台東区の七味唐辛子、「なないろ」輝く江戸風味
今日も常連がやってくる。「大辛、麻の実抜きでね」。客の注文に、店員が七つの箱から手早く材料を器に取る。東京・浅草で七味唐辛子を商う「やげん堀」は、寛永二(一六二五)年の創業から三百八十八年、江戸っ子の味覚を刺激してきた。トウガラシは香ばしい焼きトウガラシと、辛みの強い赤トウガラシの二種類を使う。これに香り豊かなサンショウ、味に深みを出す黒ゴマとミカンの皮、リラックス効果もあるとされるケシの実と麻の実を合わせる。