【西日本新聞】「アンネの日記」人間の本性はやっぱり善…歴史や愛国心をめぐって嫌な空気を感じる昨今、少女の言葉は輝きを増す
その家はアムステルダム旧市街の運河沿いにあった。3階の本棚を回転させると、隠し部屋に続く秘密の入り口が現れた。13歳のユダヤ人少女がナチスの迫害を逃れ、家族と2年間隠れ住んだ場所だ▼密告におびえ、外出どころかトイレの使用にも気を使う日々。壁に少女が憧れた映画スターの写真が当時のまま残されていた。教会の鐘の音が聞こえる屋根裏部屋で少女は日記を書き続けた▼世界約60カ国で出版された「アンネの日記」。