【福祉】3時間以上かかる救急出動、精神疾患が最多 消防庁検討会 [医療介護CBニュース]
救急車が出動してから帰署するまで3時間以上かかった事案では、精神疾患患者の件数が最も多かったことが、総務省消防庁の救急業務のあり方に関する検討会がまとめた報告書で分かった。報告書には、実際に救急隊や消防本部が行った対応策のポイントを提示。医療機関やメディカルコントロール協議会などとの連携の必要性を挙げている。【新井哉】報告書では、出動から帰署するまで2時間以上かかった事案(2014年)のうち、要因別に分類できた搬送件数を記載。2-3時間では「精神疾患患者」が「在宅独居・施設入所の高齢者」に次いで多かったが、3-4時間では「精神疾患患者」が半数近くを占めて最多となった。4時間以上では、全体の6割近くを「精神疾患患者」が占めた。こうした状況を踏まえ、報告書には、対応に苦慮した要因や傷病者の背景といった対応策のポイントを提示。例えば、身元不明で精神疾患の疑いのある30歳代(推定年齢)の男性のケースでは、病院に受け入れを依頼した際、いったんは「市職員が身元の引き受けをするのであれば受け入れ可」との回答を得た。しかし、市側が精神疾患の有無の診断が必要との見解を示したため、病院側から「精神科医師不在のため受け入れ不可」と断られた。このケースについては、メディカルコントロール協議会で検証後、行政の福祉関係窓口一覧を作成し、医療機関との連携を図ったという。また、アルコール依存症で精神疾患のある80歳代の男性のケースでは、家族からの救急要請で出動したが、本人が医療機関での受診を拒否。保健福祉事務所と協議し、保健師に引き継いだ。こうした福祉的な対応が必要な事案については、「日ごろから消防と福祉担当部局が会議を重ね、対応方法を協議しておくことで適切な対応が可能となる」としている。 (医療介護CBニュース)
医療介護CBニュース:2016/3/30 20:12
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