存在しない時間と存在するはずの未来:新年に寄せて編集長から読者の皆さんへ
2020 1 1
アントロポセン(人新世)を生きるわたしたちにとって、地球の気候変動や人間の意識といった、人々がその全貌を知覚し得ないものに取り組む10年になる──
2020年代において、未来を語ることの可能性について綴った『WIRED』日本版編集長・松島倫明からの年初のエディターズ・レター時間がいかに存在するのかは、いまも物理学では証明できない──イタリアの理論物理学者カルロ・ロヴェッリは、昨年邦訳された世界的ベストセラー『時間は存在しない』において、アリストテレスが唱えた変化の差分としての時間と、ニュートンが提唱した数学的で絶対的な時間とを対比させつつ、アインシュタインの相対性理論による統合を経て、そう結論づけている。