【五輪反対】ツイッター上のオリンピック反対派はどのような人たちか
賛成派の1アカウント当たりの平均ツイート数が1.7回、反対派の平均ツイート数が6.8回■反対派,賛成派アカウントの分析
さて,問題は反日的な人達をどう解釈するかです.毎日新聞の記事によれば「歴史認識などで一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対している」とあります.しかしながら,反日的と批判されているアカウントを抽出するのは困難です.そこで,オリンピック関連ハッシュタグ運動を行うアカウントには党派性が強いということが分かっていることを参考に,ハッシュタグ運動ではない通常のオリンピック関係ツイートにおいて党派性が出ていないかを確認してみます.ここでは特に安倍前総理の時代に肯定的なツイートを拡散していたか否定的なツイートを拡散していたかによってアカウントの分類を行い,それぞれを10回以上行ったかアカウントを「政権支持派」「政権不支持派」として,オリンピックの賛否ツイートをどの程度拡散していたのかを確認します.その結果,
・オリンピック反対クラスタに含まれるツイートを拡散したアカウントの41.6%が政権不支持派・オリンピック賛成クラスタに含まれるツイートを拡散したアカウントの53.3%が政権支持派となりました.グラフにまとめるとこんな感じ.この結果から,確かに政権不支持アカウント群がオリンピック反対ツイートを拡散していたことが明らかとなりました.安倍前総理の言う「一部から反日的ではないかと批判されている人たち」というのがどのような集団を意識しているのかはわかりませんが,共産党の志位和夫委員長がいうように「自分に反対するものを『反日』」とレッテルを貼る結果だとすると,確かにオリンピックを「強く反対している人たち」の一部は「安倍前総理に反対するもの」といえるため,安倍前総理の指摘は必ずしも的外れではないと言えてしまいそうです.ただし,半分以上のアカウントは党派性が確認できていないものであるため,そういったアカウントだけではないということは強調すべき点でしょう.逆にオリンピック賛成ツイートの拡散を行ったアカウントの半分以上が政権支持派だったという結果も興味深い点です.オリンピックに対して賛否の姿勢を明確にしているアカウントは,賛否問わず党派性が強いものが多いということは言えそうです.次に,党派性の強いとみられるアカウントを除いたらどうなるのか分析してみましょう.党派性の強いとみられるアカウントを削除しクラスタリングをしてみるとどのようなトピックが存在するのかを分析してみました.クラスタ1:オリンピック反対クラスタ(130,958アカウント)クラスタ2:野球オリンピック代表情報(36,681アカウント)クラスタ4:サッカーオリンピック代表情報(30,134アカウント)クラスタ3:オリンピックに関するネガティブな情報(32,076アカウント)クラスタ5:オリンピック関連プレゼント企画(10,722アカウント)この結果から,党派性が強いアカウントの影響を排除してもオリンピック反対系のツイートは数多く存在し,多数のアカウントが拡散していることが分かりました.この結果から「オリンピック反対派は一部の偏った人たち」と考えていると全体像を見誤ることになる可能性が高そうです.一方で,積極的にオリンピックに賛成する意見を拡散するクラスタはベスト5から姿を消してしまいました.つまり積極的な賛成意見は主に政権支持派が行っていたということになります.むしろ「政権に好意的な人が五輪開催に強く賛成」と言った方がツイッター上の現状とはあっていそうです.じゃあ,オリンピック賛成派はいないのかというと難しいところです.サイレントマジョリティーという言葉で知られるように,大半の人は積極的に賛否については意見を表明しないでしょう.そのため,賛成派がどのくらいいるのかその実態は分かりづらいところがあります.以上の結果をまとめると,ツイッターデータ分析からは,・オリンピック反対ツイートは政権不支持派が多く拡散したが,半分以上は党派性が確認できないアカウントによる拡散である・直接的なオリンピック賛成ツイートは政権支持派が半分以上拡散した・党派性の強いアカウントの影響を排除しても反対ツイートは多数拡散されている・党派性の強いアカウントの影響を排除すると,オリンピックを楽しもうとしているクラスタが上位に現れるということが分かりました.
(グラフ、詳細はリンク先で)