安倍政治と「規範意識」
40年近くも前の話になるが秦野章という政治家が「(政治家に)正直や清潔などという徳目を求めるのは、八百屋で魚をくれと言うのに等しい」と発言し、物議を醸したことがある。秦野さんは警視総監から政界に転じ、法務大臣までやった人物。ルール違反を取り締まる立場の彼の言葉に、多くの国民が呆れたものだった。ただし、正直や清潔とは無縁とみられていた当時の政治家でも「公」と「私」を分けて考えるくらいの分別はあったし、首相や大臣、都道府県知事といった立場の人たちは特にその点には厳しかったと記憶している。