【キッチン】台所から消える「やかん」 電気ケトルが主流に
(中略)
急須に熱湯を注ぐには、従来のように柄杓で汲んでいてはこぼれやすく、あまり都合がよくない。そこでさらに、あらかじめ注ぎ口のついた湯沸し道具が使われるようになった。その1つが先の薬鑵である。1603(慶長8)年に長崎で刊行されたポルトガル語の日本語辞書『日葡辞書』には、薬鑵について<今では湯を沸かす、ある種の深鍋の意味で通用している>と書かれており(『邦訳?日葡辞書』土井忠生ほか著、岩波書店、1980年)、中世末期にはすでに湯を沸かす道具として用いられていたことが分かる。