【論説】東京大学、三谷博教授「戦後生まれは加害者としての罪を負わない、しかし責任の継承は不可避だ」
いま日本では「嫌中・憎韓」という気分が世を覆っている。2012年夏、尖閣・竹島という辺境の小島に関する領土紛争が隣国との間に外交争点化され、さらに中国との間に武力衝突の可能性も発生して以来、日本では、20世紀前半をめぐる歴史認識を語ることを論外とする空気が拡がった。差し迫った危機を感じた結果、自らを隣国による攻勢の被害者と捉え、70年以前の過去を指弾するその声に耳を塞ごうとするようになったのである。