「犬でも飼ってみようかな」
一人暮らしを始めた11年前のある夜、構内食堂で向かい合った先輩にこう語りかけた。一瞬、頭を上げて目線をくれた先輩はおかずの箸をご飯に動かしながらこう言った。「お前の寂しさを紛らわすため犬を悲しませるなよ」その後、痛かった当時のアドバイスに何度と感謝したことか。9年前から同居しているゴムの木を昨年やっと植え代えることができた私には異種の動物に共生という名の下、孤独を強いる資格などあるはずもない。

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