【書評】戦後日本史教育から消えた記録『通州事件 日本人はなぜ虐殺されたのか』
昭和12年7月29日、北京東20キロの城郭都市・通州で日本人居留民225人が中国人兵士に虐殺される事件が起きた。今年は、この通州事件からちょうど80年にあたる。当時は新聞各社がこの事件を取り上げ、無辜(むこ)の日本人たちの死を悼んだが、戦後の日本史からは消え去り、今日の教育では教えていないに等しい。本書は、事件の詳細と、当時の状況、精神的、思想的背景にふれ、「虐殺」をめぐる日本、中国での宣伝の実態などを全6章にわたり解説。