【原子核物理学】原子核からほんの少しあふれた2個の中性子 重い酸素同位体の質量測定が明らかにする極限原子核の世界
要点
中性子の数が極端に多い酸素同位体「酸素26」の質量を高精度で決定酸素26では2個の中性子をつなぎとめるエネルギーがほんの少し足りない未解決問題である中性子ドリップライン異常や核力の解明の手掛かりに.
概要
東京工業大学大学院理工学研究科の近藤洋介助教、中村隆司教授、理化学研究所(理研)仁科加速器研究センターの大津秀暁チームリーダー、米田健一郎チームリーダーらの研究グループは、8個の陽子と18個の中性子からなる重い酸素同位体「酸素26」を人工的に生成し、中性子のうち2個は原子核に結びつけておくためのエネルギーがわずかに足りず、その不足分が通常の原子核における2中性子の結合エネルギーの1000分の1程度と極めて小さいこと(いままで観測されたものの中で最小)を見出した。