【4月22日】インド三重目の新変異「D614G」/合成の一重変異「D614G」の動物実験したら野生型より高い増殖効率と感染伝播力 東大
2021年4月22日,加藤官房長官が「インド由来変異株感染を日本で5件確認」と発表した [ 時事ドットコムニュース. 2021-04-22 17:55. ].インド由来変異株については,英国と米国でも「監視対象」株とされている.このインド変異株について,米国カリフォルニアでの感染確認を受けてHarvard Mecical SchoolとHarvard School of Public Healthの教授であったWilliam A. Haseltine []がForbes寄稿記事を以下に引用する.
[出典] "An Indian SARS-CoV-2 Variant Lands In California. More Danger Ahead?". Haseltine WA. Forbes. 2021-04-12 12:55.
インドでの感染者数は,2月9日の11,012件に対して4月9日には145,384件と,わずか2ヶ月間に10倍増となったが,この急増の一因がB.1.617と命名された変異株によるとされている.・B.1.617変異株はユニバーサルになった変異D614Gを帯びているが,ゲノム解析から英国由来B.1.1.7,南ア由来B.1.351,ブラジル由来P.1,ニューヨークy以来B.1.526およびカリフォルニアB.1.427/9の変異株とは独立にインドで発生したことが示唆されている.・B.1.617変異株で注目すべきスパイクタンパク質のACE2受容体結合ドメイン (RBD)上の二重変異である:一つは,カリフォルニア由来変異株にも見られるL452Rの二重変異である.研究室実験によれば,この二種類の変異は,スパイクタンパク質のACE2への結合親和性を高め,モノクローナル抗体を逃れる能力を高める;もう一つは,B.1.351,P.1,およびB.1.526変異株ではグルタミン酸からリジンに変異している484番目の残基(E484K)に対して,グルタミンに変異 (E484Q)している.研究室実験では,この変異もL452Rと同様にACE2への結合親和性と抗体回避能を高めるとされている.
・スパイクタンパク質でRBDを含むS1サブユニット上にはその他に,G142D,E154K,D614G,およびP681Rが存在している.冒頭の二種類は,他の変異体でも多様な変異が発生しているN末端領域に位置し,D614G変異は一連の変異体に共通である.P681R変異は,S1サブユニットとS2サブユニットの開裂部位近くに位置していることから,細胞への侵入過程であるS1サブユニットとS2サブユニットの開裂に関与することで,三重変異を帯びたインド由来変異株に独特の特性をもたらす可能性がある.[参考] 2021-04-22 新型コロナウイルスにモノクローナル抗体回避能をもたらすACE2結合ドメイン上の変異を洗い出した.
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