【地震学】「ちきゅう」の断層掘削試料の分析と動力学解析による南海トラフ地震での断層すべり量の定量的評価
研究成果のポイント
•地球深部探査船「ちきゅう」(図1)により採取された日本海溝と南海トラフのプレート境界断層試料を分析、モデル計算の結果、2011年東北地方太平洋沖地震での海溝付近の巨大すべり約80mを再現、さらに南海トラフ地震にて海溝付近の断層が、約30-50m程度すべる可能性を示した•日本海溝の泥質な断層では透水率が低いため、南海トラフの砂質な断層では摩擦係数が高く温度上昇しやすいため、サーマルプレッシャライゼーション※1 が強く機能し大きくすべることを、初めて定量的に評価•今後、地震を引き起こす“巣”をより深く掘削し、断層試料の分析・モデル計算により、深部固着域(地震の巣)の断層すべりの規模をより正確に評価できることが期待リリース概要
大阪大学大学院理学研究科の廣野哲朗准教授、清水建設技術研究所の津田健一博士、国立研究開発法人海洋研究開発機構高知コア研究所の谷川亘博士、カリフォルニア工科大学のJean-Paul Ampuero教授、建築研究所の芝崎文一郎博士、東京大学地震研究所の木下正高教授、京都大学防災研究所のJames J. Mori教授の研究グループは、統合国際深海掘削計画(IODP)※2 における、地球深部探査船「ちきゅう」の研究航海で得られた断層掘削試料を用いて、断層の鉱物組成と各種物理特性(摩擦係数、透水率、熱重量変化など)を分析し、海溝付近の断層のすべり量を解析しました。